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2005/07/21

四日間の奇跡

4day02封切直前に、吉岡秀隆さんが楽譜も読めないのに『月光ソナタ』を自ら弾いたというのを知って、より一層楽しみにして観に行きました。個人的に真理子の過去と被る部分があって、特別深く共感してしまい、回想シーンは泣きっぱなしでしたが、観終わって優しい気持ちになれる映画だと思いました。

それと、私はベートーヴェンの『月光』が大好きなので、この曲が物語に重要な存在として使われたことがとても嬉しかったです。ちなみに、私がかろうじて弾けるのは第2楽章までで、吉岡さんも弾いているのは第1楽章だけですが、やはり第3楽章は難しいので、ちっとやそっとじゃ弾けません。それゆえに映画では第1楽章が使われていますが、本当は第3楽章じゃないと『月光』を使う意味はないと思います。

というのも、原作の中で如月敬輔が心から弾きたいと願うのは月光の第3楽章だからです。第1楽章のゆったりした旋律とは対照的に、細かい音符の、音程の入り組んだ複雑なスケール(音階)をものすごい速さで弾かなければいけないものなので、薬指を銃に吹き飛ばされてしまった彼が、元通り、自由自在に指を操りたいという気持ちの象徴として、原作者はこの第3楽章を取り上げたのでしょう。

しかし、第1楽章はとても幻想的な旋律なので、『奇跡』のイメージにはとてもよく合っていましたし、知名度も高く、なによりも役者さん本人が弾くことができましたから、第3楽章を吹き替えでやるよりも良かったと思います。
吉岡さんの演奏は本当に素晴らしかったです。「当分、鍵盤見たくない(苦笑)」というお言葉から、相当弾き込んだご様子が伺えますね。
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漫画と原作は観終わった後で読みました。(原作はまだ読みきっておらず)
真理子が、残された4日間で過去を振り返り、自分の気持ちとちゃんと向き合って、自分の運命をしっかりと受け入れてゆく姿を演じるのはとても難しいですが、石田ゆり子さんと尾高杏奈さんは、たしかな演技力でこれを見事に演じきっていました。

傷ついた経験のある人は他人に優しくなれる』…真理子の、まるでマリア様のような慈悲に満ちた優しさと凛とした態度は、過去の悲しみを乗り越えた強さ(傷は完全に癒えてはいなかったけど)から来ているのですが、石田ゆり子さんははまり役だと思います。尾高さんの千織と真理子の演じわけも実に素晴らしい!将来有望な女優さんとして注目してゆきたいです。

映像に関しては、角島の風景がとても美しく、セットの教会もマッチしていてよかったです。特に奇跡のシーン。灯台の光が教会のステンドグラスから差し込んで七色に光ったのがなんとも神々しくて、効果的でした。全体的に原作の雰囲気には忠実だけれども、ところどころは観る人の捉え方にゆだねられていました。特にラスト。教会のステンドグラスの文字と、真理子と敬輔と千織が手をつないで教会へ向かう姿に、「これは敬輔が千織と真理子を思って寄贈したステンドグラス??」それとも「本当のパパとママが生前に贈ったもの?」と、少々混乱しました。(原作や漫画をみて、後者の方が正しいらしいのはわかりましたが)
けれど、観る人次第な演出の投げかけは映画らしいので、これはこれで私は許せますが、白黒はっきりさせたい人には、少々納得行かない部分のある映画かもしれませんね。お薦めBOOKSにあげておきながらこの映画の話題を取り上げていなかったので、公開は終わっちゃったようですが、書かせていただきました(^^; 。

余談ですが…どこかで「瀬戸の花嫁」に違和感をもったというコメントを見ましたけど、一昔前の田舎の結婚式らしくて、私は良かったと思いました。老舗旅館の長男坊の披露宴ということで、親戚やら地元の有力者やら集めて延々と飲めや歌えや、主役そっちのけで大騒ぎ。地域によっては延々と三日三晩続くと聴いたこともありますので、そんな様子をとてもよく再現していたのではないでしょうか。

◇公式ページ◇ 

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